日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.53,No.12 (2025)

表題:
MALDI-TOF MSによる微生物の迅速同定
[6]食品製造におけるMALDI-TOF MSを用いた微生物解析法の活用:微生物同定から毒素検出まで
著者:
高橋尚美((株)明治)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.53,No.12,pp.425−432(2025)

MALDI-TOF MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間型質量分析)は,迅速かつ簡便な微生物同定法として広く利用されている。食品企業である当社でも,微生物同定システムを導入し,原料や製品,製造環境などから分離された微生物を同定して高度な衛生管理に繋げている。加えてインハウスライブラリや公開ライブラリなどを登録してデータベースを拡充することで,同定精度の向上にも取り組んできた。微生物同定用途以外にも,微生物毒素の検出法としてセレウス菌のセレウリド検出法を開発し,活用している。セレウリド産生株と非産生株の識別や,低温増殖性を有するセレウスグループの菌種との同時識別,さらにはセレウリド産生条件の検討も可能である。MALDI-TOF MSによる微生物解析法を幅広く活用することで,安全で高品質な食品製造を実現できるであろう。

Key words:
MALDI-TOF MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間型質量分析)/Microbial identification(微生物同定)/Bacillus cereus(セレウス菌)/Bacillus cereus group(セレウスグループ)/Cereulide(セレウリド).