サツマイモ基腐病はDiaporthe destruensによって引き起こされる土壌病害であり,100年以上前にアメリカで報告された。日本では2018年に初めて報告され,その後,南九州地域でサツマイモ生産に深刻な被害を与えた。本病害は主に種苗によって圃場に持ち込まれ,降雨などによって圃場での被害が拡大する。また,罹病残渣が圃場に残ることで次作の汚染源となることも知られている。そのため,本病害の診断手法と防除手法の開発を行った。診断では,植物の感染の有無の診断手法に加え,圃場の発病ポテンシャルを調べるために,土壌の診断手法も開発した。防除は,「健全苗の生産」と「本圃での病害対策」の二段階に分けて考え,それぞれに対応する防法手法を開発した。これら手法を組み合わせることにより,診断をして適切な防除方法を選択し,効率的な防除につなげることが期待される。